ニュース考

「忍者博物館で窃盗」事件にみる新聞事情

新聞事情が垣間見れる忍者博物館の窃盗

「忍者博物館で窃盗 犯行は3分間?」

こんな見出しの記事が朝日新聞の社会面に掲載された。

多くの読者は「忍者のようだ」とニンマリ?

でも、このニュース、忍者博物館の事件だからニュースになったとも…

ライバルの読売新聞との報じ方の違いをみると、現代の新聞事情が垣間見れる。

3分間で窃盗 まるで忍者のよう…

事件の概略はこうだ。

三重県伊勢市にある「忍者博物館」の事務所から100万円が入った金庫が盗まれた。

金庫の重さは150キロあったが、犯行時間は3分程度だった。

 

3分間で盗んで「ドロン」したのか⁉

被害に遭った博物館には申し訳ないが、思わず笑ってしまう。

ただ、しょせん中身は話題作りでしかない。

 

事件の発生は2020年8月17日だが、朝日新聞に掲載されたのは1週間後の24日だった。

このタイムラグの原因を調べてみて分かった。

朝日は事件を20日に知ったが、話題が乏しい月曜朝刊までしいて掲載しなかったのだ。

忍者博物館の窃盗被害は読売の特ダネだった

このニュース、8月20日の読売新聞朝刊で他紙に先駆けて報じられた。

掲載されたのは中部版の第二社会面のみ。

いわゆる特ダネだが、関東の読者はネットでしか読めない。

読売編集部は地域限定のニュースと考えた。

 

それでも、地元で出し抜かれた他紙の記者はイラついた。

今どき、100万円の窃盗事件は珍しくない。

忍者博物館の短時間の被害でなければ、全国紙はニュースとみなさないはずだ。

 

朝日の編集部はニュースの速報性や価値を検討しただろう。

結果、新聞自体にはすぐ載せなかった。

ネットの朝日デジタルには読売の掲載当日に記事を載せ、ネット内では拡散した。

忍者か⁉「窃盗3分間」の根拠を検証すると…

事件記者の間では他紙に特ダネを掲載されたことを「抜かれた」という。

ニュース価値があるほど素早く後追い記事を書かざるをえない。

抜かれた記事の事実関係を確認するため、警察などに取材を入れるのは屈辱だろう。

 

朝日の記者の心中が読み取れるのが犯行時間は3分程度と表記している根拠だ。

(駆け付けた)「伊賀警察署員の現場到着時刻などから」と説明。

警備会社からの連絡を受け、犯行3分後に現場に到着できるだろうか?

忍者博物館の被害を盛り上げるための演出ではないかと、私は勘ぐった。

 

先んじて報じたライバル紙の読売のネット記事を読んで納得した。

犯行時間3分間の裏付けを「防犯カメラの記録などから」と伝えていた。

これなら説得力がある。

 

もっとも、3分間で金庫を盗み出すのは忍者のようだろうか?

狭い施設から複数人で金庫ごと盗みだすだけなら3分間で十分な気もする。

こんな屁理屈をこねているようでは、事件記者にはなれないか…(トホホ)

まとめ

忍者博物館の窃盗事件が報じられた
朝日新聞の紙面をみると、現代の新聞事情が垣間見れる
犯行時間が3分間というのがニュースの肝だった
読売新聞の特ダネに朝日は確証が得られず、紙面の掲載は1週間遅れに
朝日が掲載したのは生ニュースが少ない週末の紙面の話題作りだった

 

ABOUT ME
マービー55
50代で脱サラし、新たな生き方を模索中。文章を書くのは好きですが、ITにはめっぽう弱いアナログ人間。人混みが苦手なカントリーおじさんです。

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