テレビ考

シルクロードはNHK特集から俗化した⁉

NHK特集でシルクロードの俗化は進んだ

NHK特集で1980年から放送されたシルクロード。

現在、BSで再放送されている。

カラオケ店も出店する現在のシルクロードの町の姿とは比べようもない。

このようにシルクロードが俗化したのは中国が改革開放を進めただけではない。

NHK特集の取材が行われた後から人々の心はお金に取りつかれるようになったようだ。

NHK特集の撮影には相当なお金が使われた⁉

1980年から放送が始まったNHK特集「シルクロード 絲綢之路(しちゅうのみち)

名ナレーターはご存じ石坂浩二だ。

BSプレミアムの再放送を見ていると、まさに悠久の時の流れを感じる。

 

今のようにコンピュタ―グラフィックスなどは一切使っていない。

しかし、中国政府の協力も得て、じっくりと現地を調べ上げた取材力はすごい。

手あかのついていない自然や古代の遺跡などの映像はどれも迫力があり印象的だ。

漢族のほか、地元ウイグル族、回族などさまざまな民族が町を行きかう。

 

私はこのNHK特集に感化され、放送後間もなくしてシルクロードの町を訪ね歩いた。

敦煌(とんこう)、ホータン、トルファン、カシュガル…

初めて訪れた私にとっては、中国の乾いた辺境の地はとても魅力的に思えた。

でも、よくよく観察すると分かったこともある。

 

テレビ取材前からシルクロードを旅している外国人旅行者は皆語っていた。

「NHKのクルーが入った町は俗化し、つまらなくなった」

撮影協力に相当なお金が使われた(ばらまかれた)という。

 

私も旅行中に現地の人々が日本人慣れしていることに気づいていた。

他の外国の辺境を訪ねたときには、地元の人々は警戒する。

「あんた誰?」「何人?」と全身をじっくり見られる。

NHKが大々的に取材したシルクロードの町にはそんな目はみじんもなかった。

NHK特集以外でもテレビ取材は俗化を進める

このテレビ取材による地元民の俗化はNHK特集に限らない。

テレビ朝日系で今年3月放送された開局60周年の記念番組でも感じた。

タイトル「氷と雪に閉ざされた秘境の地 天空のヒマラヤ部族 決死の密着取材150日間」

 

〝ナスD〟こと友寄隆英ディレクターがヒマラヤ最奥の聖地ネパール・ドルポを取材する。

サバイバル番組でも体を張り続けるナスDを私は大好きだ。

腐りかけている水や食べ物を平らげてしまう旺盛な生命力は感服するしかない。

 

ナスDが手掛ける「天空のヒマラヤ」の番組も迫力ある風景には圧倒された。

ただ、「テレビ初映像」とうたわれた辺境の地に住む人々の様子には違和感を感じた。

「おはよう」「ありがとう」などと普通に日本語が飛び交う。

簡単な英語も含めて妙に天空の民は外国人慣れしている感じだった。

お金と時間をかけるテレビの特別番組

もはや、この地球に本当の秘境などないのかも。

自然の風景は、太古に近い姿をとどめている場所はある。

町には土産店や喫茶店、カラオケ店が軒を並べる。

町は観光ずれしている。

 

大きな契機になるのがお金だ。

ビジネスでこれまで手にしたことがない大金をつかむ人が出てきた。

記念番組を手掛けるテレビの取材なら相当の予算が費やさられる。

本心はノーでも、多額のお金を積まれれば人の心は弱いのだ。

 

テレビの特番自体には好奇心をそそられる。

ただ、取材前の現地の様子を知る旅人から見れば、取材後の町の変化が分かるはずだ。

やらせは御法度だろうが、おもしろい番組にするには「演出」「編集」は必要だ。

そのためには、いやでも時間とお金はかかる。

 

俗化が進んでいてもシルクロードの町はまだまだ訪ねる魅力はある。

興味がないのなら旅しなければいいだけだ。

もっとも、保守化が進む今の中国を旅しても楽しくないかも…(トホホ)

まとめ

再放送中のNHKのシルクロード特集は見ごたえある
40年前にNHKの大掛かりな取材班が入って町は俗化した
テレビの取材が入ると、辺境、秘境の地の俗化は進む
大きな取材費が町に落とされるためだ
俗化が進んでもシルクロードには魅力的な面は残っている

 

ABOUT ME
マービー55
50代で脱サラし、新たな生き方を模索中。文章を書くのは好きですが、ITにはめっぽう弱いアナログ人間。人混みが苦手なカントリーおじさんです。

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