旅行

海外で無一文に(中国編)

中国・ゴルムドで無一文に

海外で人生2度目の無一文になったのは中国でした。

約30年前のことです。

チベットのラサを目指すために青海省のゴルムドに宿泊したときでした。

まだ、青蔵鉄道は開通していない時代です。

千百キロ強の道程で、今では車で19時間半で行けるようです。

30年前はブローカーと交渉し「闇バス」を利用する2泊3日の旅でした。

旅社宿泊があだに

まだ薄暗い夜明け前、旅社のドミトリーで目覚めたときです。

枕元に置いていた所持金を入れたバッグのチャックが空いていました。

「しまった!」

現金やトラベラーチェックがすべて盗まれていました。(トホホ)

 

昨夜、疲れてベッドに倒れ込んだとき、近くのベッドで誰かが寝ていました。

そのベッドは既に空っぽでした。

旅社の女性主人に被害を伝えようとしました。

私は中国語がほとんどできないので、理解してもらえませんでした。

 

その旅社には百円ほどの宿泊料を払えば誰でも泊まれました。

本当は外国人は旅社に泊まれないのが規則。それを承知で泊まらせてくれたのです。

宿泊者名簿などありません。

犯人捜しはほぼ絶望でした。

ゴルムドには多くのバックパッカーが泊まるゲストハウスがありました。

興味本位で、より格安の旅社に泊まったのが失敗でした。

「ああ、素直にゲストハウスに泊まっておけば…」(トホホ)

TC、再発行できず

現金の被害は致命的なほどではなかったのです。

大方の金はトラベラーズチェック(TC)にしてありました。

旅行小切手とも称され、紛失・盗難にあっても再発行が可能です。

 

そんな安心感もあり、どこかで油断していたのでしょう。

実はTCを再発行できるのは、販売している外資系の銀行のみ。

北京や上海なら可能だったでしょう。

田舎街のゴルムドに再発行できる銀行はありませんでした。トホホ)

時計を売り現金に

幸い、ラサへのバスチケットとパスポートは無事でした。

当時、中国の地方では一日数百円あれば十分旅できました。

「何とか現金を入手しなければ…」と思案しました。

 

最初に取った行動が中国人に時計を売ることでした。

前日に街中で私の安物の時計見たさに中国人の人垣ができました。

「チ、チ、チ…」。小気味よく動く針に皆が驚いていたのです。

当時の中国の田舎町ではクォーツが珍しかったようです。

住民らの腕時計は手巻きのぜんまいばね式でした。

村の長老格の男性に商談を持ち掛けました。

日本で数千円で買った時計はほぼ同じ価値の人民元に変わりました。

いよいよ聖地へ

ラサの後、私はネパールの首都カトマンズを目指す計画でした。

カトマンズまでたどり着ければTCが再発行できるだろうと考えていました。

 

ラサに何日滞在するのかが、問題でした。(トホホ)

「もう少し現金があれば安心だな」

私はバスで乗り合わせた日本人旅行者から2千円を借りました。

 

いよいよ闇バスでラサへ。

チベット仏教の聖地には数日、滞在しました。

あまり楽しめませんでした。

ポタラ宮は美しかったです。

チベット文化にも魅了されましたが…

やはり、懐に不安があったからでしょう。(トホホ)

 

その後、バスでヒマラヤ山脈を越え、カトマンズに無事たどり着けました。

盗まれたTCの再発行にもすんなり成功。

使わずにすんだ2千円は、同行してた日本人旅行者に返せました。

それにしても精神的に疲れたチベット旅行でした。トホホ)

IT社会が発達し無用に

ちなみに、現在、TCは販売されていません。

手持ちのTCの両替はできます。

便利なのになぜ市場から消えたのでしょう?

 

IT化社会が発達し、無用になったためです。

世界中でクレジットカードが普及しています。

海外プリペイドカードだってあります。

強者はスマホ一つで世界中を旅してしまう時代ですから…

 トホホの教訓 

海外での宿泊場所は安全なところを選ぼう。安宿ほど防犯に気をつけなければいけない
海外旅行中、現金は複数の個所に分散して所持しよう
発展途上国で時計を売れば、いくらかの現金は手にできるかも
時計がないと何かと不便だ。困ったときには、同行の日本人旅行者に助けを求めよう

 

ABOUT ME
マービー55
50代で脱サラし、新たな生き方を模索中。文章を書くのは好きですが、ITにはめっぽう弱いアナログ人間。人混みが苦手なカントリーおじさんです。

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