旅行

海外で無一文に(アメリカ編)

海外3度目の一文無しはアメリカで

私が海外で3度目の無一文になった国はアメリカでした。

1998年の春、中西部イリノイ州の州都シカゴでの出来事です。

地下鉄の電車内でスリの被害に遭ったのです。

ジャマイカ、中国に続きまた盗難なんて、懲りない自分が情けない…。(トホホ)

 

当時、私は隣接するウィスコンシン州の州都マディソンに留学していたんです。

週末の休みを利用して大都会・シカゴに遊びに来たときでした。

その、無一文になったてん末とは…

2度目のスリで被害か?

アメリカ第3の大都市シカゴ。とても魅力的な街です。

何といっても、ブルースが楽しめる店がたくさんあります。

ダウンタウンにそびえる奇抜なデザインの高層ビル群も見飽きません。

 

見どころも多いシカゴ市内を観光しようと地下鉄に乗っていたときです。

車内があまり混んでいないので油断していました。

ふと、後ろポケットに手を入れると空っぽです。

財布がなくなっていたんです。(トホホ)

 

スラレル布石はあったんです。

数時間前、別の地下鉄車内で後ろポケットを探られていることに気づいたんです。

財布が入っていたポケットを手で抑えながら、素早く背後に振り向きました。

白人の中年男が「何もしてないよ」といわんばかりに両手を広げます。

〝未遂事件〟に1度遭い、「スリには気をつけねば」と言い聞かせていたのに…

馬鹿ですよね。性懲りもなく、被害に遭ってしまったようです。(トホホ)

財布を落とした可能性もゼロとは言えませんが…

日本領事館は休み

財布には、現金約20ドルとクレジットカードが入っていました。

私には、ほかに所持金はありません。

「あーあ」。楽しいはずの週末の小旅行は暗転しました。(トホホ)

 

シカゴには日本領事館がありました。

「日本人旅行者なら助けてくれるだろう」と一度は胸をなでおろします。

すぐに気づきました。「週末は開いていないじゃん…」(トホホ)

 

あきらめて、パトロール中の警察官に事情を話しました。

恰幅のいい中年の黒人男性です。とても気の毒がってくれます。

パトカーに私を乗せ、宿泊予約を入れていたユースホステルへ連れていってくれました。

「チップイン「」に助けられ

ユースホステルのフロントで私に非がないことを訴えてくれた警察官。

最後に私の手に1ドル札2枚を握らせました。

「マックでバーガーでも食べなさい」と笑顔を浮かべて出ていきました。

私はただ、「サンキュー、ベリーマッチ」の連発です。

 

その時、私はパスポートを持っていませんでした。

留学先のマディソンの家に置いてきてしまったのです。

「身元の確認ができないじゃん!」(トホホ)

 

そんな私の心配をよそに、ユースのフロントにいた女性は優しく応対してくれました。

おそらく警察官の助言もあったからでしょう。

「あなたの名前は予約リストにあるわ。支払いはクレジットカードね」

私はカードを持っていないのに決済を認め、予約通り2泊泊まっていいと言います。

 

受付後、女性は、周囲でくつろいでいたゲストたちに私の被害を説明し始めました。

ゲストたちも「チップイン」を繰り返し1ドル札を次々手渡してくれました。

その時、私は涙が出そうになるほどうれしかったです。

ゴルフ用語で有名な「チップイン」ですが、「カンパし合う」という意味もあります。

私の所持金は20ドル近くになりました。

捨てる神あれば拾う神ありです。運がよかったともいえますが… (トホホ)

 

実はその夜、パフォーマンスショー「ブルーマン」を見に行く予定でした。

パソコンの公式サイトで、座席をクレジットカードで予約していたんです。

ユースでゲストたちに話すと「なぜ、見にいかない」と不思議がります。

 

「パスポートもクレジットカードもないんだよ」と説明する私。

ゲストたちは「窓口で名前を言えば大丈夫だよ」と励まします。

「エンジョーイ!(楽しんでこい)」との声に送られながら私は劇場に向かいました。

 

果たして、劇場にはすんなり入れました。

青くメークした3人組の男たちによるスリリングなショーは最高でした。

日本公演も大好評だったのでご存じの方もいるのではないでしょうか?

 

個人的な信用貸し

なんだかんだでユース2泊後の月曜日。私は日本領事館へ。

「パスポートもないし、助けてくれるかな」。ちょっぴり不安でした。トホホ)

幹部である中年の男性職員が応対してくれました。

 

これまでの状況や身元を確かめる情報を詳しく聞かれました。

いざ、お金を借りる話になった際、男性職員はきっぱりと言いました。

「領事館の業務ではありません。あなたを信用し私が個人的にお貸しましょう」

帰りのバス代と少し余裕を持たせて50ドル借りました。

 

「これまで私が貸した日本人でお金を返さなかった人はいません」。男性は念を押します。

「あなたが返さなければ、次に助けを求めてきた日本人に私はお金を貸さないでしょう」。

私は借用書を書きながら、ただ、真摯(し)にうなずくしかありませんでした。(トホホ)

 

留学先のマディソンに帰宅後、すぐに小切手を郵送したのはゆうまでもありません。

クレジットカードも数日で再発行でき、何とか日常に戻れました。(トホホ)

 トホホの教訓 

治安がいい日本と違って、海外で地下鉄に乗るときは、くれぐれもスリに用心しよう
盗難に遭っても慌てずに対処しよう。場所にもよるが、きっと誰かが助けてくれる
英語に自信がなければ、まず、英語ができる日本人を探し助けを求めよう
海外を旅するならクレジットカードを2枚、分散して持ち歩こう

 

ABOUT ME
マービー55
50代で脱サラし、新たな生き方を模索中。文章を書くのは好きですが、ITにはめっぽう弱いアナログ人間。人混みが苦手なカントリーおじさんです。

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