旅行

海外で無一文に(ジャマイカ編)

ジャマイカに旅し無一文に

私は海外旅行中に無一文になったことが三度あります。

そのピンチをどう乗り切ったのでしょうか?

最初に無一文になったのは、ジャマイカへ旅したときでした。

 

約35年前、年の瀬に旅行先のニューヨークに2週間余り滞在していたときです。

あまりの寒さに耐えきれず、ジャマイカへの小旅行を決行したのです。

ほんの1週間、ささやかなバカンスを楽しむつもりでした。

財布を入れたウエストポーチを盗まれ

朝、ゲストハウスのベッドで目覚めたときです。

ベッドの近くのテーブルの上に置いていたウエストポーチが見当たりません。

ポーチには財布や航空券が入っていました。

 

よく見ると、入り口のドアの留め金が外されています。

「しまった!泥棒に入られた」

財布には全所持金のほか、クレジットカードが入っていました。

無一文になったことが分かりました。(トホホ)

 

ジャマイカ第2の都市モンテゴベイでの出来事です。

宿泊したのは海岸近くにあるゲストハウス。

一泊300円ほどと格安だったと思います。

老朽化が進む数棟の小屋に泊まるタイプでした。

宿の主人に盗難被害を訴えるもそっぽ

「泥棒に入られ、金を全部、盗まれた。どうしてくれるんだ」

年老いた宿の主人に抗議すると、そっぽを向かれ、軽くいなされました。

「ちゃんとカギを掛けたの?」

 

「あんなのがカギか? 留め金だろう」と私。

宿の主人は自分には非がないことを言い続け、らちがあきません。

泥棒に入られたのは自己責任だと主張します。

 

防犯面から見れば、極めてお粗末な小屋に泊まることを承知したのは私でした。

「宿代を安くあげようとケチり過ぎたか…」

まさに後悔先に立たずです。

幸いパスポートだけは無事で

ジャマイカに滞在して1週間。まさか最終日に盗難被害に遭うとは…。

その日の夕方、私は往復チケットを購入したニューヨークへ飛行機で戻る予定でした。

 

運よく、机の引き出しに入れてあったパスポートは無事でした。

もしかしたら泥棒が見逃してくれただけかもしれませんが…

狭い部屋です。机の引き出しは容易に目につくはずです。

 

冷静になり、事態を打開することを考えました。

まずは街中の警察署に行きました。

盗難被害の証明書を作ってもらうためです。

後で損害保険の請求などに役立つかもしれないと考えたからです。

 

証明書を作ってくれた警察官に質問しました。

日本領事館はモンテゴベイにないですか?」

警察官は「ノー」と気の毒そうな顔をしました。

 

首都のキングストンには日本大使館はありますが、バスで3時間以上かかります。

大使館に行けば、助けてくれるでしょうが、肝心のバス代がありません。

紳士が航空券の再発行を特別に認め

気を取り直して、盗まれた航空券の飛行機会社のオフィスへ。

再発行を試みようと、交渉するためです。

 

「格安チケットは再発行しない決まりになっています」

航空会社のカウンターで応対した女性社員は淡々と説明します。

私も承知の上でした。

 

「確かに言う通りですが、搭乗者予定リストに私の名前ないですか?」

私は粘りました。

警察署で入手した盗難証明書も見せました。

1時間近く交渉していたときです。

カウンターの奥から紳士風の男性が出てきました。

たぶん、女性社員の上司でしょう。

 

「パソコンの搭乗予定者リストに私の名前があるんです」

私は再び、必死に説得を続けました。

「私はジャマイカが大好きです」。「最終日にこんなつらい目にあい、残念ですが…」

 

黙って聞いていた男性に最後、こう訴えました。

「この旅をいい思い出にするためにジャマイカ精神を見せてください」

紳士はニヤリとしながら「OK」とうなずき、航空券の再発行を認めてくれました。

 

夕方、ニューヨーク行きのジャンボジェットに無事、乗れました。

乗客は数人しかいませんでした。

その日がクリスマスイブだったからでしょう。

アメリカでの入国審査では一苦労

飛行機は無事にニューヨークに到着。

その時、私は不安になりました。

「お金がない。入国できるだろうか?」

 

入国審査の際、別室へ連れていかれました。

「働きにきたわけではありません。盗難にあったんです」

盗難証明書を見せながら、入国管理局の職員に無一文の状況を必死に説明しました。

傍らには、レゲエ風のいでたちの中年男性がいました。

ジャマイカ人でしょう。私と同じく、不法就労を疑われたのかもしれません。

 

なかな入管の職員は私を解放してくれません。

ふと、思いついて1カ月前に日本からの便で入国していること説明しました。

パスポートには確かにそれを証明するスタンプが押されています。

 

担当の職員はようやく納得してくれました。

解放される前に、入管で電話を借りました。

ニューヨークで不法就労していた日本人の知り合いに迎えを頼むためでした。

 トホホの教訓 

治安のよくない国では、いくら安くでも防犯対策が甘い宿には泊まらない方がいい
無一文になっても冷静に考え、行動することが大切だ。頼れるものには何でも頼ろう
外国では自己主張が大切だ。必死に説明すれば相手に伝わることもある
物事の交渉には、立場(権限)のある相手と行うことが大切だ

 

ABOUT ME
マービー55
50代で脱サラし、新たな生き方を模索中。文章を書くのは好きですが、ITにはめっぽう弱いアナログ人間。人混みが苦手なカントリーおじさんです。

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